【保存版】投資リターンとリスクの計算方法を完全マスター|CAGR・平均リターン・標準偏差を丁寧に解説

投資リターンとリスクの計算方法を完全マスター

「S&P500の年平均リターンは約10%」
「このファンドのリスクは15%」

投資の本やブログを読んでいると、こういった数字がよく登場します。
でも、そのリターンやリスクがどうやって計算されているかを理解している人は意外と少ないです。

本記事では、投資を勉強している人が必ず押さえておきたいリターンとリスクの計算方法を、一から丁寧に整理します。

復習用としてブックマークしておくと便利な内容にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

ドンヨーク

本記事を読むことで、以下のことがわかるようになります。

  • 特定期間のリターンの計算方法
  • 2種類の平均リターンの違いと計算方法(算術平均・CAGR)
  • リスクとは何か?
  • リスク(標準偏差)の計算方法
  • リターンとリスクを同時に見るシャープレシオの計算方法
目次

特定期間のリターンの計算方法

まずは、最も基本的となるリターンの計算から確認していきましょう。

リターンの基本式

リターンの基本式は以下です。

$リターン(\text{\%}) = \frac{期末価格 -期初価格}{期初価格} \times 100$

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少し用語が堅いので、シンプルに言い換えると次のとおりです。

$リターン(\text{\%}) = \frac{最終値 - 初期値}{初期値} \times 100$

例えば、投資している銘柄の株価が

  • 購入時:100万円
  • 現在:120万円

の場合、リターンは

$\frac{120 - 100}{100} \times 100 = +20\text{\%}$

となります。

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この期間が1年であれば「年率20%のリターン」と表現できます。

トータルリターン(配当込みリターン)の計算方法

株式投資では、値上がり益だけでなく「配当」も重要な収益の一部です。

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配当を含めて計算したリターン「トータルリターン」といいます。
一方、配当を含めないものは「価格リターン」と呼ばれます。

配当込みのトータルリターンは以下のように計算されます。

$トータルリターン(\text{\%}) = \frac{(最終値 - 初期値) + 配当額 }{初期値} \times 100$

例えば、

  • 購入時:100万円
  • 現在:120万円
  • 配当金:2万円

の場合、トータルリターンは、

$\frac{(120 - 100) + 2}{100} \times 100 = +22\text{\%}$

となります。

インデックス投資では、基本的に配当込み(トータルリターン)で評価するのが重要です。

ただし、個別銘柄の簡易的な分析などでは、高配当銘柄でない限り、計算がシンプルな「価格リターン」で大まかに評価することも多いです。
そのため、本記事では以降に登場する「リターン」は、特に断りがない限り価格リターンとして扱っていきます。

年足データから複数年の合計リターンを計算する方法

「この銘柄は、〇年〜〇年の期間でどれくらい増えたのか?」

こうした複数年の合計リターンは、年足データから簡単に計算できます。

ここでは、代表例としてアップルの年足データを使い、2021年〜2025年の5年間の合計リターンを実際に求めてみます。

始値終値前年比(%)
2025248.93 271.86 +8.56
2024187.15250.42 +30.1
2023130.28192.53 +48.2
2022177.83129.93 -27.0
2021133.52177.57 +33.8
202074.06132.69 +80.7
AAPLの年足データ抜粋(2020年~2025年)
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計算には2通りの方法がありますので、それぞれ紹介します。

① 終値ベースで計算する方法(最もシンプル)

こちらは、最もシンプルで誤差が出にくい方法です。
先ほどのリターンの式に当てはめるだけでOKです。

ドンヨーク

なお、リターンの計算では、「終値」さえあれば十分で、「始値」は不要です。

2021年~2025年の合計リターンは、

  • 初期値:2020年の終値(132.69)※2021年の始値ではなく、その前年の終値を使用
  • 最終値:2025年の終値(271.86)

の2つの値を使って計算し、

$\frac{271.86 - 132.69}{132.69} \times 100 = +104.88\text{\%}$

となります。(5年間で約2.05倍になったことがわかります)

②年間リターン(前年比)から計算する方法

もう1つの方法は、各年のリターン(前年比)を使う方法です。

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各年の騰落率データしかない場合に使う方法です。

各年のリターンから合計リターンを計算する場合、すべてを掛け合わせることで求められます。

このとき、各リターン(%)を「倍率(〇倍)」に変換してから掛け合わせます。

(例)

+8.56 → 1 + (8.56 / 100) = 1.856(倍)
-27.0 →  1 + (-27.0 / 100) = 0.73(倍)

これを踏まえると、最終的に以下の式で求められます。

n年間の合計リターンを求める式

i年目の年間リターンを$r_i(\text{\%})$とすると

$合計リターン(\text{\%}) = \{\displaystyle \prod_{i=1}^n ( 1 + \frac{r_i}{100}) - 1\}\times 100$

上記より、2021年~2025年の合計リターンは、

$\{(1 + \frac{33.8}{100}) \times (1 + \frac{-27.0}{100}) \times (1 + \frac{48.2}{100}) \times ( 1 + \frac{30.1}{100}) \times (1 + \frac {8.56}{100}) - 1 \} \times 100 = +104.44 \text{\%}$

と求めることができます。

  • 終値ベースで計算:+104.88%
  • 年間リターンの掛け合わせ:+104.45%

と、計算結果にわずかなズレが生じていることがわかります。

この原因は、前年比データの「丸め誤差」によるものです。

各年の前年比(年間リターン)は、一般的に小数点以下が丸められた値になっています。
そのため、本来の正確な数値とは微妙にズレがあり、その状態で掛け算を行うと誤差が累積していきます。
特に、計算期間が長くなるほど、この丸め誤差の影響は大きくなりやすい点に注意が必要です。

一方で、終値ベースでの計算は、実際の価格データをそのまま使っているため、こうした誤差が入りません。
したがって、より正確な合計リターンを求めたい場合は、終値ベースでの計算が適しています。

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基本的には「終値ベースでの計算」がシンプルかつ正確なのでおすすめです。
ただし、手元に前年比データしかない場合や、分析のしやすさを重視する場合には、前年比から求める方法を使っても問題ありません

平均リターンには2種類ある|算術平均と幾何平均(CAGR)

ここからは、リターンの「平均」について解説していきます。

リターンの「平均」には、算術平均幾何平均という2つの計算方法があります。

  • 算術平均 → 単純な平均
  • 幾何平均(CAGR) → 実際の資産成長に近い平均
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どちらを使うかによって結果が変わるため、両者の違いをしっかり理解しておくことが重要です。

算術平均リターンとは

算術平均は、一般的な「平均」のことです。
各期間のリターンを合計し、期間数で割ることで求めます。

算術平均リターンの計算式

i年目の年間リターンを$r_i$とすると、

$算術平均リターン(\text{\%}) = \displaystyle \sum_{i=1}^n r_i \div n = (r_1 + r_2 + \cdots + r_n) \div n$

例えば、

  • 1年目:+50%
  • 2年目:−30%

のとき、2年間の算術平均リターンは、

{50 + (−30)} ÷ 2 = +10%

となります。

上の例では、一見「平均10%のリターン」に見えますが、実際はどうでしょう?

1年目で1.5倍(+50%)、2年目で0.7倍(-30%)となるため、合計では「1.5×0.7=1.05倍(+5%)」となります。

ドンヨーク

あれ、2年間で+5%しか増えていない。
平均の「10%」と合わない…

これが算術平均リターンの落とし穴です。

算術平均は、実際の資産の増え方(複利)を反映していないため、投資成績を正確に表さないことがあります

そこで、投資の世界では幾何平均(CAGR)がよく使われます。

幾何平均リターン(CAGR)とは

幾何平均リターンCAGR:Compound Annual Growth Rate)は、複利を考慮した「実際の平均成長率」を表します。

CAGRは、合計リターンの$\frac{1}{年数}$乗で求めることができます。

CAGRの基本式

n年間の合計リターンを$R_{total}(\text{\%})$とすると、

$CAGR(\text{\%}) =\{(1 + \frac{R_{total}}{100})^\frac{1}{n} - 1\} \times 100$

例えば、株価が5年間で2倍(+100%)になった場合、

5年間の平均成長率(CAGR)は、

$\{(1 + \frac{+100}{100})^\frac{1}{5} - 1\} \times 100 = +14.87\text{\%}$

となります。

ただし実際には、合計リターンがわからない状態から計算するケースも多いでしょう。

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そこで、年足データから直接CAGRを求める方法を紹介します。

CAGRを年足データから求める場合、以下の2通りの方法で計算できます。

  • 株価の初期値と最終値から求める
  • 各年のリターンから求める

※どちらも合計リターンを求めてから$\frac{1}{年数}$乗しており、本質的には同じです。

では、先ほどのアップルの年足データを使い、2021年〜2025年のCAGRを求めてみます。

終値前年比(%)
2025 271.86 +8.56
2024250.42 +30.1
2023192.53 +48.2
2022129.93 -27.0
2021177.57 +33.8
2020132.69 +80.7
AAPLの年足データ抜粋(2020年~2025年)

初期値と最終値からCAGRを求める方法

この場合は、「最終値÷初期値」でリターンを求められるので、それを$\frac{1}{年数}$乗することでCAGRを計算できます。

初期値と最終値からCAGRを求める式

$CAGR(\text{\%}) = \{(\frac{最終値}{初期値})^\frac{1}{年数} - 1\} \times 100$

2021年~2025年の5年間におけるCAGRは、

  • 初期値:2020年の終値(132.69)
  • 最終値:2025年の終値(271.86)
  • 年数:5

より、

$\{(\frac{271.86}{132.69})^\frac{1}{5} - 1\} \times 100 = +15.42\text{\%}$

となります。

各年のリターンからCAGRを求める方法

この場合は、各年のリターンを掛け合わせたものを$\frac{1}{年数}$乗することでCAGRを計算できます。

各年のリターンからCAGRを求める式

i年目の年間リターンを$r_i$とすると

$CAGR(\text{\%}) = \left[ \{\displaystyle \prod_{i=1}^n (1 + \frac{r_i }{100})\}^\frac{1}{n} - 1 \right] \times 100$

上記より、2021年~2025年の5年間におけるCAGRは、

$ \left[\{(1 + \frac{33.8}{100}) \times (1 + \frac{- 27}{100}) \times (1 + \frac{48.2}{100}) \times (1 + \frac{30.1}{100}) \times (1 + \frac {8.56}{100})\}^\frac{1}{5} - 1\right] \times 100 = +15.37 \text{\%}$

となります。

※2通りの計算結果でわずかに差があるのは、年足データの丸め誤差によるものです。

算術平均と幾何平均(CAGR)の使い分けは?

「2種類の平均があるのはわかったけれど、結局どっちを見ればいいの?」

と疑問に思うかもしれません。

結論から言うと、

  • 過去の運用成績を評価するとき → 幾何平均(CAGR)
  • 将来の期待リターンを推定するとき 算術平均

を使うのが基本です。

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「どっちを使えばいい?」と迷ったときは、「過去を振り返るか、将来を見るか」で判断すると覚えておくと便利です。

資産の増え方(成長率)を評価するなら「幾何平均(CAGR)」

特定の資産が「毎年どれくらいのペースで増えてきたか」という、「実際の年率成長率」を評価する場合はCAGRを使います。

具体的には、以下のような場面です。

  • 銘柄や指数の過去の実績(パフォーマンス)を評価するとき
  • 運用期間の異なる投資信託の成績を比較するとき
  • 「年率△%で〇年運用したら資産はいくらになるか」といった複利計算のシミュレーションをするとき
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CAGRは「実際に資産がどのくらいのスピードで増えたか」を表すため、投資の成果を測るうえで最も重要な指標です。

将来の期待値やリスク(価格の振れ幅)を計算するなら「算術平均」

一方で、「将来どれくらいのリターンが期待できるか」「リスク(標準偏差)」を計算する場合は、算術平均を使います。

これは、確率論や統計の考え方では「期待値=算術平均」として扱われるためです。

具体的には、以下のような場面で使います。

  • 将来のリターン(1年あたりの期待値)を見積もるとき
  • リターンが平均からどれだけブレるかという「リスク(標準偏差)」を計算するとき
  • 複数のシナリオ(好調・不調など)を想定し、全体の期待値を評価するとき
ドンヨーク

算術平均は「将来こうなるかもしれない」という期待値の目安として使うイメージです。

個人的には、普段の銘柄分析や投資判断では、まずCAGRを重視しています。

そのうえで、「将来どれくらいのリターンが期待できるか?」を考えるときに、算術平均を補助的に使うイメージです。

ドンヨーク

この2つを正しく使い分けられるようになると、投資の精度はかなり上がってきます。

リスクとは何か?|「損する確率」ではない

ここまでリターンについて見てきましたが、投資ではもう1つ重要な概念があります。

それが「リスク」です。

ドンヨーク

投資におけるリスクは、「損をすること」ではありません。

投資の世界でいうリスクとは、価格の振れ幅(どれだけ上下するか)を指します。

例えば、以下の2つの投資があったとします。

  • A:1年目 +5%、2年目 +5%
  • B:1年目 +20%、2年目 -8.12%

どちらも2年間の合計リターンは約+10.3%、年平均成長率(CAGR)は+5%と同程度の投資成績になります。
しかし、「Bの方がリスクが高い投資」といえます。

同じリターンでも、「毎年安定して得られたのか」「大きく上下しながら得られたのか」によって、投資の難易度精神的な負担は大きく変わります。

リスクの考え方は以下のとおりです。

  • 値動きが大きい → リスクが高い
  • 値動きが安定している → リスクが低い

このとき、リターンが同じなら、値動きが小さい(リスクが低い)投資ほど優れているといえます。

ドンヨーク

投資においては、リターンだけを見るのではなく、「どれくらいブレながら増えたのか」まで含めて評価することが重要です。

リスク(標準偏差)の計算方法

リスクは「標準偏差」という指標で表されます。

ドンヨーク

標準偏差とは、リターンが平均からどれくらい離れているか(ブレの大きさ)を数値化したものです。

リスク(標準偏差)の計算の流れ

STEP
各年のリターンから平均リターン(算術平均)を求める

各年のリターンを$r_i$とすると、平均リターン$r_{\text{ave}}$は以下で求められます。

$r_{\text{ave}} = (r_1 + r_2 + \cdots + r_n) \div n$

STEP
各年の「リターンと平均との差(偏差)」を求め、それぞれを2乗したものの平均をとる(分散)

${\text{分散}} = \{ (r_1 - r_{\text{ave}})^2 + (r_2 - r_{\text{ave}})^2 … (r_n - r_{\text{ave}})^2 \} \div (n - 1)$

※2乗するのは、マイナスのリターンをプラスに変換して、純粋な「離れ具合」を合計するためです。

投資のリスク計算では、nではなく(n-1)で割る点に注意が必要です。

手元にある過去のデータは、あくまで全体の一部(標本)に過ぎません。
このような限られたデータから「真のリスク(母分散)」を推定する場合、単純にnで割ると推定値が小さめに出てしまう(過小評価になる)ことが知られています。

そこで、n−1 で割ることでこの偏りを補正します。
このようにして求めた分散を 不偏分散といいます。

STEP
最後に平方根を取る(標準偏差)

分散の平方根を取ることで、標準偏差が求められます。

${\text{標準偏差(σ)}} = \sqrt{ \text{分散} }$

標準偏差(σ)の意味

標準偏差(σ)が分かると、

  • どれくらい上下するか
  • どれくらい安定しているか

が見えてきます。

統計学的に、リターンが正規分布に従うと仮定した場合、次のことが言えます。

  • 「平均 ± σ」の範囲に約68%収まる
  • 「平均 ± 2σ」の範囲に約95.5%収まる
  • 「平均 ± 3σ」の範囲に約99.7%収まる
ドンヨーク

つまり、算術平均標準偏差を求めることで、将来のリターンがどの範囲に収まりそうかを大まかに予測できます。

ただし、これらはリターンが正規分布に従うという前提に基づいた目安であり、実際の市場では理論値よりも大きな下落が起こりやすい(テールリスク)点には注意が必要です。

ところで、±σ、±2σ、±3σについて、「結局どれを見ればいいの?」と思うかもしれません。

ドンヨーク

結論としては目的によって使い分けるのが正解ですが、実務的なリスク管理では、±2σを基準に考えることが多いです。

その理由は、「現実的に起こりうる最悪のケース」を把握するのに、±2σがちょうどよい水準だからです。

例えば、「平均 - 2σ」を計算し、その損失を見てみましょう。
もしその下落で生活に支障が出たり、パニックで売却してしまいそうであれば、リスクの取りすぎと判断できます。

σの使い分けのイメージをまとめると以下のとおりです。

  • ±1σ(約68%):日常的な値動きの範囲を把握したいとき
  • ±2σ(約95.5%):自分のリスク許容度を測りたいとき
  • ±3σ(約99.7%):めったに起きない極端な事象(暴落・急騰)まで考慮したいとき

実際のデータでリスクを計算してみましょう

では、実際にアップルの年足データを使ってリスク(標準偏差)を計算してみます。

リターン(%)
2025+8.56
2024+30.1
2023+48.2
2022-27.0
2021+33.8
AAPLの年足データ抜粋(2021年~2025年)

まず、平均リターン$r_{\text{ave}}$を求めます。

$r_{\text{ave}} = (8.56 + 30.1 + 48.2 - 27.0 + 33.8) \div 5 = +18.7\text{\%}$

次に、リターンと平均との差(偏差)を求め、$(偏差)^2$を計算します。

リターン(%)平均との差(偏差)$(偏差)^2$
2025+8.56 -10.17103.43
2024+30.1 +11.37129.30
2023+48.2 +29.47868.48
2022-27.0 -45.732091.23
2021+33.8 +15.07227.10
偏差および偏差の2乗の計算結果

$(偏差)^2$のデータから分散を求めます。

$\text{分散} = (103.43 + 129.30 + 868.48 + 2091.23 + 227.10) \div ( 5 - 1 ) = 854.89$

最後に分散の平方根を取って標準偏差(リスク)を求めます。

${\text{標準偏差(σ)}} = \sqrt{ 854.89} = +29.24\text{\%}$

以上より、アップルの2021年〜2025年におけるリスク(標準偏差)は約29.2% となります。

また、平均リターン$r_{\text{ave}}$は+18.7%だったため、リターンの期待値については以下のように考えることができます。

  • 約68%の確率で-10.5%+47.9%(平均±σ)の範囲に収まる
  • 約95.5%の確率で-39.7%+77.2%(平均±2σ)の範囲に収まる
  • 約99.7%の確率で-69.0%+106.5%(平均±3σ)の範囲に収まる

標準偏差はスプレッドシートやExcelの関数で簡単に計算できます。

標準偏差の算出は計算手順が多く、難しく感じたかもしれません。

ドンヨーク

しかし、スプレッドシートやExcelの「STDEV.S関数」を使えば一発で計算できます。

例えば、年間リターンがシート上で以下のように並んでいるとします。

A1:8.56
A2:30.1
A3:48.2
A4:-27.0
A5:33.8

このとき、以下のように入力するだけで標準偏差(リスク)が自動で計算されます。

=STDEV.S(A1:A5)

なお、STDEVには主に2種類あります。

関数割る数使う場面
STDEV.Sn−1(不偏分散)過去の一部のデータからリスクを推定するとき
STDEV.Pn(母分散)対象全期間のデータが完全に揃っているとき
ドンヨーク

投資では通常、手元にある過去データは全データの「一部」に過ぎないので、「STDEV.S」を使えばOKです。

リターンとリスクはトレードオフの関係

ここまでリターンとリスクの計算方法を見てきましたが、最後に両者の関係について整理しておきましょう。

投資の世界には、「高いリターンを得ようとすれば、高いリスクを取らなければならない」 という大原則があります。

ドンヨーク

これをリターンとリスクのトレードオフといいます。

例えば、以下の3つの資産を比べてみます。

資産期待リターン
(算術平均)
リスク
(標準偏差)
預金低いほぼゼロ
債券中程度低い
株式高い高い

預金はほぼリスクゼロですが、得られるリターンも微々たるものです。
一方、株式は大きなリターンが期待できますが、価格が大きく上下するリスクも伴います。

ドンヨーク

「リスクなしで高リターン」という投資は、原則として存在しません。
もしそう謳っている商品があれば、むしろ疑ってかかるべきです。

リスクとリターンがトレードオフの関係にあるということは、裏を返せばリスクを取ることで、より高いリターンを期待できるということでもあります。

長期投資においては、短期的な価格の上下(リスク)に耐えることで、預金や債券では得られない高いリターンを狙いにいくことができます。

ドンヨーク

重要なのは、リスクを「怖いもの」として遠ざけるのではなく、「自分がどれだけリスクを取れるか」を基準に投資を考えることです。

リターンとリスクを同時に見る指標|シャープレシオとは?

同じリターンが期待できる投資が2つあれば、リスクが小さい方が優れています。
また、同じリスクならリターンが高い方を選ぶべきです。

ここまで読まれた方は、上記は容易に理解できるかと思います。

では、リターンもリスクも異なる2つの投資を比較したいときはどうすればよいでしょうか?

ドンヨーク

そのときに使われるのがシャープレシオです。

シャープレシオとは、「取ったリスクに対して、どれだけ効率よくリターンを得られているか」を表す指標です。

計算式は以下になります。

$シャープレシオ = \frac{平均リターン - 無リスク金利}{標準偏差(リスク)}$

「無リスク金利」とは、リスクをほぼ取らずに得られるリターンのことで、短期国債の利回りなどが使われます。
株式投資の分析においては、この値は比較的小さいため、簡易的な比較では省略されることも多いです。

ドンヨーク

シャープレシオが高いほど、リスクに見合ったリターンを効率よく得られている投資といえます。

例えば、以下の2つの投資を比べてみます(無リスク資産のリターンを1%と仮定します)。

リターンリスク(標準偏差)シャープレシオ
投資A10%15%(10−1)÷15 = 0.60
投資B14%25%(14−1)÷25 = 0.52

リターンは投資Bの方が高いですが、シャープレシオで見ると投資Aの方が「リスクに対して効率よくリターンを得られている」ことがわかります。

まとめ|数字を正しく理解して投資の質を上げましょう

本記事のポイントをまとめます。

  • リターンは「トータル(配当込み)」で考えるのが重要
  • 平均リターンは目的に応じて使い分ける(算術平均/CAGR)
  • 過去の成績はCAGR(幾何平均)で評価する
  • 将来の期待値は算術平均で推定する
  • リスクは「損失」ではなく「値動きのブレ(標準偏差)」
  • リスク計算では「STDEV.S(n−1)」を使うと一発で計算できる
  • 将来の振れ幅は、リスクを踏まえて「±2σ」を基準に考える
  • リターンとリスクをセットで見る場合には、シャープレシオで評価する

投資の世界では、「なんとなく勝っている」状態が一番危険です。

数字でしっかり判断できるようになると、過剰なリスクを避けられ、再現性のある投資ができるようになります。

ドンヨーク

本記事は、復習用としてぜひ定期的に見返してみてください。

本記事は投資の学習を目的とした解説記事であり、特定の投資商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任において行ってください。

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