株式投資というと、ついリターンに目が行きがちです。
しかし、実際の投資においてそれ以上に重要なのが、ドローダウン(最大下落率)です。
「この株、どこまで下がったことがあるんだろう」
「過去の暴落時に何%くらい落ちているのか、事前に知っておきたい」
このように、過去の暴落局面でその銘柄がどれだけ下落したかを知ることは、投資リスクを測るうえで非常に重要です。
本記事では、私が愛用している海外の便利ツール「DQYDJ」を使って、特定の銘柄のドローダウンを調べる方法を解説します。
ドンヨーク「無料で」「英語が苦手でも」「一瞬で」ドローダウンを調べられるツールですので、ぜひ活用してみてください。
はじめに|ドローダウン(最大下落率)とは?
ドローダウン(Drawdown)とは、過去の高値からどれだけ下落したかを表す指標です。
その計算方法は、ある時点の高値から、その後の安値までの下落幅を、パーセンテージで表します。
$ドローダウン(\text{\%}) = \frac{安値 − 直前の高値}{直前の高値} \times 100$
例えば、株価が1000円のピークをつけた後、600円まで下落したとすると、そのドローダウンは −40% です。
また、「最大ドローダウン(Maximum Drawdown / MDD)」とは、分析期間中に発生したすべてのドローダウンの中で、最も大きかった下落幅のことを指します。



ドローダウン=あなたが耐える必要がある現実のリスクです。
ドローダウンを知るメリットには以下が挙げられます。
リスク許容度の確認に使える
「この株は過去に最大60%下落している」とわかれば、自分がそれに耐えられるかどうかを事前にシミュレーションできます。
エントリー判断の参考になる
歴史的に大きなドローダウンが発生した局面を確認することで、現在の下落がどの程度の水準か相対的に把握でき、底値のタイミングで購入できる可能性が高まります。
銘柄間の比較ができる
同じリターンを持つ2つの銘柄を比較する際、ドローダウンが小さい方がリスク効率の良い投資先と考えられます。
神ツール「DQYDJ」の紹介
私がドローダウンの計算で最も愛用しているサイトが、DQYDJ です。
DQYDJ(Don't Quit Your Day Job) は、米国の個人投資家向けに運営されている無料の金融計算ツールサイトです。
このサイトの「Stock Drawdown Calculator」は、米国株のティッカーシンボルを入力するだけで、1970年代まで遡って配当込みの正確なドローダウンを算出してくれる優れものです。
このツールの特徴をまとめると次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応銘柄 | 米国株・ADR(数千銘柄) |
| データ更新 | 週1回程度(最新7日以内) |
| 費用 | 完全無料 |
| データソース | Tiingo(米国の金融データプロバイダー) |
| 言語 | 英語 |



英語のサイトですが、使い方は非常にシンプルなので、誰でも簡単にドローダウンの確認ができます。
「DQYDJ」でドローダウンを調べる手順
では実際に操作手順を見ていきましょう。
ここでは例として、アップル(AAPL)の株価のドローダウンを調べます。
まずは、以下のURLにアクセスしてください。
https://dqydj.com/stock-drawdown-calculator/
ページが開くと、入力フォームが表示されます。


ツールの入力項目は以下の4つです。
① Ticker(ティッカー)
調べたい銘柄のティッカーシンボルを入力します。
今回は AAPL と入力します。
入力を始めると候補が自動補完されるので、リストから AAPL を選択してください。
② Log Scale(ログスケール)
チェックを入れると、グラフが対数スケールで表示されます。
長期間のデータを見る場合、チェックを入れると初期の株価変動が見やすくなります。
ここは好みで設定してください。
③ Starting Date(開始日)
分析したい期間の開始日を入力します。
例:2010-01-01(2010年1月1日)
④ Ending Date(終了日)
分析したい期間の終了日を入力します。
例:2025-12-31(2025年12月31日)



期間の設定は自由です。
「直近5年だけ見たい」「リーマンショック前後を含めたい」など、目的に合わせて調整してみてください。
入力が完了したら、「Calculate」ボタンをクリックします。
すると、画面に「最大ドローダウンの情報」と「ドローダウンチャート(グラフ)」が表示されます。


最大ドローダウンの情報
分析期間全体での最大ドローダウンについて、以下の情報が表示されます。
- Maximum Drawdown:最大ドローダウンの値(43.80%)
- Previous Peak Value:直前の最高値(21.13)
- Lowest Trough Value:安値(11.87)
- Extreme Drawdown Period:ドローダウンの期間(2012/9/19~2013/4/19)
ドローダウンチャート
グラフは2つの要素から構成されます。
- Price:株価の推移チャート(赤のラインは各ドローダウンの期間を示します)
- Drawdown:各時点でのドローダウン率を面グラフで表示



ドローダウン率の面グラフを見ると、いつ・どのくらい下落していたかが視覚的に一目でわかります。
「Show Drawdowns」ボタンをクリックすると、ドローダウン期間の詳細テーブルが表示されます。
以下は出力されたテーブルの抜粋です。


このテーブルには、30日以上継続した主要なドローダウン期間が一覧で表示されます。
最大下落率やボラティリティが大きくても、Duration(日数)が30日未満のものは一覧内に載らないことには注意が必要です。
一方、「Calculate」の方は、期間に関係なく最も大きい下落を拾うため、「Calculate」「Show Drawdowns」の両方を目的に応じて使い分けるとよいでしょう。
テーブルの各項目の説明を以下にまとめます。
| 項目名 | 意味 |
|---|---|
| Date Range | ドローダウン期間の日付 (高値をつけた日~底をついた日) |
| Peak, Trough | 高値と底値 |
| Drawdown | そのドローダウンにおける最大下落率(%) |
| Duration | ドローダウン期間の日数 |
| Volatility | ドローダウン期間中のボラティリティ (年率換算した標準偏差) |
ツール活用のポイント



ツールの操作に慣れたところで、ツール活用のポイントをいくつか紹介します。
ポイント①:最大ドローダウンを自分のリスク許容度と照らし合わせる
例えば、上で示したAAPLのように、計測期間内の最大ドローダウンが −43.8% だったとしましょう。
これは「100万円投資していたら、56.2万円になった瞬間がある」ということです。
その状態でパニックにならずに保有し続けられるか。
と、自分のリスク許容度を測る基準として活用することができます。
ポイント②:Duration(継続期間)に注目する
「どれだけ深く落ちたか」だけでなく、「どれだけ長くマイナス圏が続いたか(Duration)」も重要なリスク指標です。
同じ−30%でも1ヶ月で終わったのか、1年続いたのかでは精神的負荷がまったく違います。
ドローダウンの継続期間を見ることで、「この株は一度下げると、長い期間低迷しやすいかどうか」を把握できます。
なお、本ツールでは「回復期間(Recovery)」は数値として表示されません。
ただし、出力されたチャートを確認することで、回復までにかかった期間は視覚的におおよそ把握できます。



Duration(下げの期間)とあわせて「元に戻るまでにどれくらいかかるのか」も確認しておくと、より実践的なリスク理解につながります。
ポイント③:ボラティリティで下落の「激しさ」を把握する
Durationが「下落の長さ」を示すのに対し、Volatilityが示すのは「下落の激しさ」です。
AAPLを例に、下落率が近い2つの局面を比較してみます。
| 時期 | ドローダウン | 継続期間 | ボラティリティ |
|---|---|---|---|
| 2020年2月~3月 (コロナショック) | -31.43% | 78日 | 86.07% |
| 2022年1月~2023年1月 (利上げショック) | -30.91% | 354日 | 35.55% |
Durationだけ見れば「コロナショックの方が短くて楽」に思えます。
しかしVolatilityを見ると、コロナショックは日々の値動きが非常に激しく、毎日大きく上下を繰り返しながら急落していたことがわかります。
「短くて激しい急落」と「長くてじわじわの下落」
どちらが自分にとって辛いかは、人によって異なります。



自分のメンタルのクセを事前に把握しておくことが、暴落時に冷静な判断を下すための準備になります。
ポイント④:ドローダウンの「回数」を把握する
テーブルに表示されるデータにおいて、ドローダウン期間の行数=30日以上続いた大きな下落の回数です。
回数が多い銘柄はそれだけ値動きが荒く、メンタル負荷が高い投資先といえます。
ただし、「□年間に〇%レベルの下落が△回ある」という歴史を把握していれば、その下げは“異常”ではなく“いつもの動き”として受け止めることができます。



以下のように、ドローダウンの回数をレンジ区切りで集計してみるのもおすすめです。
| ドローダウンの範囲 | 回数 |
|---|---|
| -10% 〜 -20% | 14 |
| -20% 〜 -30% | 1 |
| -30% 〜 -40% | 5 |
| -40% 〜 -50% | 1 |
| -50% 〜 | 0 |
また、「〇%以上が何回あるか」を把握する場合、「累積型」でまとめてみるのもよいでしょう。
| ドローダウン | 回数 |
|---|---|
| -10%以上 | 21 |
| -20%以上 | 7 |
| -30%以上 | 6 |
| -40%以上 | 1 |
| -50%以上 | 0 |
ドローダウンを把握し、投資を継続するための心の準備をしましょう
本記事では、株式のドローダウンを調べるための無料ツール 「DQYDJ」の使い方を解説しました。
ドローダウンのデータを見ることは、単なる過去の統計確認ではありません。
投資を続けていくための心理的な準備そのものです。



私自身、FANG+やレバレッジなどの銘柄を保有しているため、ドローダウンの過去データは常に意識しています。
- 事前にドローダウンのデータを確認しておいた投資家は、暴落局面でも「過去にも同じようなことがあった。歴史的に見れば回復してきた」という判断軸を持てます。
- 一方、事前に確認していなかった投資家は、同じ下落でも「もしかしてこのまま戻らないのでは」という恐怖に駆られやすくなります。
投資でもっとも怖いのは、下落そのものではなく、下落時にパニックになって売ってしまうことです。
ドローダウンを事前に把握しておくことは、それを防ぐための一番シンプルな方法だと考えています。



自分が保有・検討している銘柄のドローダウンをぜひ一度調べてみてください。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。



