「他人が貪欲なときに恐れ、他人が恐れているときに貪欲であれ」
ウォーレン・バフェット
この言葉は、株式投資をしている人なら一度は耳にしたことがあるでしょう。
しかし、「市場が今、恐怖と貪欲のどちらにあるか」を客観的に判断するのは、思った以上に難しいです。
ドンヨークそこで役立つのが、CNNが公開しているFear & Greed Index(恐怖と貪欲指数)です。
このインデックスは、米国株市場における投資家の感情を0〜100のスコアで数値化したもので、プロ・個人投資家を問わず、世界中のトレーダーが日々参照しているセンチメント指標の定番ツールです。
- Fear & Greed Indexとは?
- 7つの指標の意味
- スコアをどのように活用すればよいか
- 筆者の活用術



米国ハイテク株に投資している方はぜひ最後まで読んでみてください。
Fear & Greed Indexとは何か?
Fear & Greed Indexは、米メディア大手CNNが開発・公開している市場センチメント指標です。
CNNのサイトで無料で確認でき、データは随時更新されています。



私自身もスマホのホーム画面にブックマークして、毎日チェックしています。
このスコアは 0〜100 の範囲で表示され、数値が低いほど「恐怖(Fear)」、高いほど「貪欲(Greed)」を示します。
判定は以下の5段階に分かれています。
| スコア範囲 | 判定 | 意味 |
|---|---|---|
| 0〜24 | Extreme Fear(極度の恐怖) | 投資家が極めて悲観的な状態 |
| 25〜44 | Fear(恐怖) | 市場に不安感が広がっている状態 |
| 45〜55 | Neutral(中立) | 恐怖でも貪欲でもない均衡状態 |
| 56〜74 | Greed(貪欲) | 投資家が強気で楽観的な状態 |
| 75〜100 | Extreme Greed(極度の貪欲) | 市場が過熱気味の状態 |
以下は、2026年5月22日に確認した実際のスコアの表示です。


この場合のスコアは「59」で、判定は"Greed(貪欲)"となります。
よって、投資家が強気で楽観的な状態であることを示唆しています。
この指標の考え方はシンプルです。
- 恐怖が強いとき:投資家は売りに走り、株価は実態より割安になりやすい
- 貪欲が強いとき:投資家は買いに走り、株価は実態より割高になりやすい



つまり、市場の感情を逆張り的に読むことで、長期投資家にとって有利な局面を見極めるヒントになるという発想です。
スコアは7つの指標から算出される
Fear & Greed Indexは、7つの異なる市場指標を組み合わせて算出されます。
それぞれの指標が平均からどれだけ乖離しているかを測り、等ウェイトで合算してスコアが計算されます。
7つの指標の概要は以下の表のとおりです。
| 指標 | 主な内容 | Fear条件 | Greed条件 |
|---|---|---|---|
| ① 株価モメンタム (Market Momentum) | S&P500が「125日移動平均」を上回っているかどうか | 移動平均より低い | 移動平均より高い |
| ② 株価強度 (Stock Price Strength) | NYSE上場銘柄における「52週高値・安値銘柄数」の差 | 安値更新銘柄が多い | 高値更新銘柄が多い |
| ③ 株価の広がり (Stock Price Breadth) | NYSE上場銘柄における、上昇・下落した銘柄の「出来高」の差 | 下落銘柄の出来高が多い | 上昇銘柄の出来高が多い |
| ④ プット・コールオプション (Put & Call Options) | 5日移動平均のプット・コール比率 | プット比率が高い | コール比率が高い |
| ⑤ 市場のボラティリティ (Market Volatility) | VIXが「50日移動平均」を上回っているかどうか | 移動平均より高い | 移動平均より高い |
| ⑥ 安全資産の需要 (Safe Haven Demand) | 「株式」と「債券」の20日リターン差 | 株式が債券を下回る | 株式が債券上回る |
| ⑦ ジャンク債の需要 (Junk Bond Demand) | 「ジャンク債」と「投資適格債」の利回り差(スプレッド) | スプレッド拡大 | スプレッド縮小 |
なお、7つの指標は、それぞれ異なる更新タイミングを持っています。
Fear & Greed Indexの値は、「1日1回更新」ではなく、 各指標が更新されるタイミングに合わせて随時アップデートされます。
そのため、スコアは取引時間中に何度も変動します。
① 株価モメンタム(Market Momentum)



「S&P 500」の値から計算する指標です。
S&P 500が、125日移動平均を上回っているかどうかを見ます。
- 移動平均を上回っている → 「Greed」
- 移動平均を下回っている → 「Fear」
市場の大きなトレンドを掴むための基礎的な指標です。
短期の値動きではなく、数ヶ月単位のトレンドを反映するため、ノイズに左右されにくい点が特徴です。


この場合の判定は"Extreme Greed"です。
S&P 500は125日移動平均を大きく上回って推移しており、上昇モメンタムが非常に強い状態です。
3~4月に一時急落して移動平均を下回る場面もありましたが、その後急速に回復し、現在は移動平均を大きく上回っています。
②株価強度(Stock Price Strength)



52週高値をつけた銘柄数・安値をつけた銘柄数の差から計算する指標です。
NYSE(ニューヨーク証券取引所)上場銘柄のうち、「過去52週間(約1年間)の最高値を更新した銘柄数」と「最安値を更新した銘柄数」の差を見ます。
- 高値更新銘柄が多い → 「Greed」
- 安値更新銘柄が多い → 「Fear」
一部の大型株だけでなく、市場全体の銘柄がどちらの方向に動いているかを把握するための指標です。
一部の銘柄だけが相場を引っ張っているケースを見抜くのに役立ちます。


この場合の判定は "Fear" です。
現在の値(+2.00%)はプラス圏(高値更新銘柄が多い状態)にありますが、株価強度の判定は「過去の平均と比べて高いか低いか」で決まる点がポイントです。
チャートを見ると、2026年1月〜2月には+6%近くまで上昇していた時期もあります。
その水準と比較すると、現在の+2.00%は「高値更新銘柄が少ない状態(=Fear)」と判定されたことになります。
言い換えると、「プラスではあるが、いつもより元気がない」状態です。
③ 株価の広がり(Stock Price Breadth)



上昇・下落した銘柄の出来高(取引量)の差から計算する指標です
NYSE上場銘柄のうち、「上昇した銘柄の出来高(取引量)」と「下落した銘柄の出来高」の差を累積した指標です。
※この指標は、マクレラン出来高合計指数(MVSI:McClellan Volume Summation Index)と呼ばれます。
- 上昇銘柄の出来高が多い → 「Greed」
- 下落銘柄の出来高が多い → 「Fear」
②の株価強度が「銘柄数」を見るのに対して、こちらは「出来高の流れ」を見ます。
資金がどちらの方向に実際に動いているかを確認できる指標です。


この場合の判定は "Fear" です。
現在の値は直近で約1,000と、2025年7月の高値(約1,600)から大きく低下しています。
直近では4月に約800まで落ち込んだ後に一旦回復しましたが、再び低下傾向にあります。
上昇銘柄への資金の集まり(出来高)が弱く、市場全体の勢いが乏しい状態といえます。
④ Put and Call Options(プット・コールオプション)



5日移動平均のプット・コール比率から計算する指標です。
オプション市場における「プット(売る権利)」と「コール(買う権利)」の比率を5日間の平均で見ます。
- プット比率が高い → 「Fear」
- コール比率が高い → 「Greed」
オプション市場はいわば「投資家の保険市場」です。
株価の下落リスクに備えたい投資家はプット(売る権利)を買い、上昇に賭けたい投資家はコール(買う権利)を買います。
そのため、プットの購入が増えているときは「市場参加者が損失に備え始めている」、つまり悲観的な空気が広がっているサインとして読み取れます。
一般的に、プット・コール比率が1を超えると「弱気のシグナル」とされます。


この場合の判定は "Extreme Greed"です。
5日平均プット・コール比率は直近で約0.65と低水準にあります。
4月初旬には1.0近くまで急上昇(プットの比率が高い状態)していましたが、その後急速に低下しました。
現在はコールオプションの比率が高まっており、投資家が上昇に強気な姿勢に転じていることを示しています。
⑤ 市場のボラティリティ(Market Volatility)



「VIX」の値から計算する指標です。
VIX(恐怖指数)とは、S&P500のオプション価格から算出される「今後30日間の予想変動率」を示す指標です。1
Fear & Greed Indexでは、VIXが、「50日移動平均」と比べて上回っているかどうかを見ます。
- 移動平均を上回っている → 「Fear」
- 移動平均を下回っている → 「Greed」
VIXは、市場が不安定になるほど上昇し、落ち着くほど低下します。


この場合の判定は "Neutral" です。
現在VIXは移動平均を下回っていますが、わずかに下回っている程度では、Greedと判定されるほどの乖離幅に達していないため、Neutralに留まっていると考えられます。
4月にVIXが急騰した影響で移動平均自体が高止まりしており、VIXが下回ったとはいえその差がまだ小さい状態です。
⑥ Safe Haven Demand(安全資産の需要)



株式と債券のリターン差から計算する指標です。
過去20取引日における株式と米国債のリターンの差を測ります。
- 株式が債券を上回る → 「Greed」
- 株式が債券を下回る → 「Fear」
株式は債券よりもリスクが高いです。
株式が債券を下回るパフォーマンスを示しているときは、投資家がリスク資産から逃避して安全資産(国債)に資金を移しているサインで「Fear」と判定されます。
株式と債券の相対的な資金の流れを追うことで、投資家の「リスクオン・リスクオフ」の姿勢を確認できます。


この場合の判定は "Extreme Greed" です。
株式と債券の20日リターン差は直近で約5〜6%のプラス圏にあり、株式が債券を大きく上回るパフォーマンスを示しています。
4月には一時マイナス5%近くまで落ち込み、債券に資金が逃避していましたが、その後急反発し、現在は投資家がリスク資産である株式に積極的に資金を向けている状態です。
⑦ Junk Bond Demand(ジャンク債の需要)



「ジャンク債」と「投資適格債」の利回り差から計算する指標です。
ジャンク債と投資適格債の利回り差(スプレッド)を見る指標です。
- ジャンク債:信用力の低い企業が発行する高リスク・高利回りの債券
- 投資適格債:信用力の高い企業や政府が発行する低リスク・低利回りの債券
- スプレッドが縮小 → 「Greed」
- スプレッドが拡大 → 「Fear」
市場が強気のときは、投資家がより高いリターンを求めてジャンク債にも積極的に資金を向けます。
債券は需要が高まると価格上昇/利回り低下となるため、投資適格債との利回り差(スプレッド)が縮小します。
これが「Greed」のサインです。
逆に市場が弱気になると、投資家はリスクの高いジャンク債を避けて安全な投資適格債に資金を移すため、ジャンク債の需要が落ちて価格低下/利回り上昇となり、スプレッドが拡大します。
ジャンク債市場は株式市場の先行指標になることも多く、リスク許容度の変化を早めに捉えられる指標として注目されています。


この場合の判定は "Fear" です。
ジャンク債と投資適格債の利回りスプレッドは直近で約1.30%で推移しています。
2026年1月頃の約1.20%と比べるとやや拡大しており、投資家がリスクの高いジャンク債を積極的に買いにいく姿勢が若干後退していることを示しています。
※なお、チャート下部の注釈にある通り、配当落ち日にスプレッドが急落する動きが見られますが、これは一時的なものでその後は正常化します。
スコアの実践的な使い方



ここからは、Fear & Greed Indexの実践的な使い方について述べます。
① 時間軸で比較する
Fear & Greed Indexのサイトでは、現在のスコアだけでなく、1週間前・1ヶ月前・1年前のスコアも確認できます。
また以下のように、タイムラインをチャートで振り返ることもできます。


② 7つの指標の中身も合わせて確認する
前章にて、7つの指標の実際の表示を見てきましたが、2026年5月22日時点のFear & Greed Indexの総合スコアは「Greed(52)」であるにもかかわらず、個別に見ると判定はかなりばらつきがあることがわかりました。
具体的には、Extreme Greedが3つある一方で、Fearも3つあるという、まさに綱引き状態でした。



総合スコアが「Greed」であっても、市場の内側では強気と弱気が混在しており、すべての指標が足並みを揃えた上昇相場とは言いがたい状況です。
③ ファンダメンタルズと組み合わせて使う
Fear & Greed Indexはあくまでセンチメント(感情)の指標であり、企業の業績や経済指標などのファンダメンタルズとは別物です。
優れた投資判断には、「市場のセンチメント」と「ファンダメンタルズ」の両方を踏まえて見極める力が必要です。



Fear & Greed Indexが「Extreme Fear」のとき、ファンダメンタルズが崩れていなければ、一時的な調整である可能性が高く、長期的には株価の回復が期待できます。
私の活用法|スコア10以下は「買いトリガー」



私がFear & Greed Indexを最も重視するのは、「Extreme Fear(極度の恐怖)」のゾーンに突入したときです。
特に、「スコアが10を切ったとき」 は、私にとって強力な「買い増しシグナル」として機能します。
このタイミングで私が買い増す銘柄は、SOXLやTECLといったレバレッジETFです。
歴史的に見て、Fear & Greed Indexが極度に低下した局面は、のちに振り返ると絶好の買い場だったことが多いです。
2020年3月のコロナショック、2025年4月のトランプ関税ショックなど、市場が極度の恐怖に包まれたときこそ、長期投資家にとっては仕込みのチャンスでした。
もちろん、スコアが10を切ったからといって即座に「底打ち」するわけではありません。
スコアが低いまましばらく推移することもありますし、さらなる下落もあり得ます。



そのため私は、スコア10を切ったら「他の指標も確認しながら少しずつ買い増していく」というアプローチを取っています。
特に重視しているのが、7つの指標にも出てきたVIXです。
VIXが30を超えてきたら、市場がかなりの恐怖に支配されているサインだと考えています。
つまり、「Fear & Greed Indexが10割れ」かつ「VIXが30超」のときは、私にとってかなりの買い増しチャンスです。
一方、「Extreme Greed(極度の貪欲)」のゾーンに突入したときは、市場が過熱気味であり、一般的には「売りのサイン」とも言われます。
ただし私自身は、このタイミングで長期保有銘柄(インデックスなど)の利益確定は行いません。
Extreme Greedの状態では、以下のような戦略をとっています。
- ポートフォリオ内のレバレッジ比率が高まっている場合は、一部リバランス調整する
- 基本的に「買い増し」はしない
個人的には、「買い」よりも「売り」のタイミングを読むことの方が難しいと感じています。
ですので、「売り」のタイミングを計ることについてはそこまで重視していません。



長期投資家にとっては、「売り」のタイミングを無理に追いかけるよりも、「買い増し」のタイミングだけ着実に上手くなっていく方が、結果的にパフォーマンスの向上につながると考えています。
まとめ|ぜひブックマークして投資判断に活用ください
本記事では、Fear & Greed Indexの解説と活用のポイントについて紹介しました。
このIndexを活用するうえでのポイントを整理すると、次のとおりです。
- 現在値だけでなく、過去からの変化の流れも確認する
- 7つの指標の中身も合わせて確認する
- ファンダメンタルズと組み合わせる
- 筆者の戦略:「Extreme Fear(特にスコア10以下)」は、買い増しチャンス
市場は常に合理的ではなく、投資家の感情が大きく株価を歪めることがあります。
Fear & Greed Indexをチェックする習慣をつけることで、感情に左右されない冷静な投資判断ができるようになるはずです。



ぜひブックマークして、日々の投資判断に役立ててみてください。
※本記事は投資判断の参考情報を提供することを目的としており、特定の銘柄や商品への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。








