「NISAやってる?」のフレーズが表す実態|余剰資金は特定口座でも運用すべき理由

「NISAやってる?」のフレーズが表す実態|余剰資金は特定口座でも運用すべき理由

2024年にスタートした「新NISA」も、2026年で3年目に突入しました。

金融庁の最新データ(2025年12月末時点)1によると、NISAの口座数は約2,826万口座に達しています 。

2025年12月時点の日本の総人口(約1億2,316万人)から逆算すると、日本人の約23%(4〜5人に1人)がNISA口座を開設している計算になります。

投資対象となる18歳以上の成人人口(約1億300万人〜1億500万人)だけで見れば、およそ4人に1人(約27〜28%)に達する普及率です。

もはや投資は「一部の趣味」から「国民的な社会インフラ」へと完全に進化を遂げたと言えます。

ドンヨーク

しかし——ここで米国株投資家として、強く問いかけたいことがあります。

手元にまだ余剰資金があるのに、

「新NISAの非課税枠だけで満足して、投資をストップしていませんか?」
「『特定口座(課税口座)は税金がかかるから嫌だ』と現金のまま眠らせていませんか?」

本記事では最新の統計データを引きながら、多くの投資家が陥っている「非課税の罠」と「若年層のキャッシュ比率高すぎ問題」について、本音で切り込んでいきます。

この記事でわかること
  • NISA口座の平均利用額データが示す「非課税枠で満足してしまう人」の実態
  • 「特定口座は、課税口座だから使わない」がもったいない理由
  • NISAにはない、特定口座だけが持つ「損益通算・繰越控除」というメリット
  • NISAと特定口座、どちらを優先すべきかの正しい順序
  • 若年層が陥りがちな「キャッシュ比率高すぎ問題」と筆者の考え
目次

浮き彫りになった「NISA枠で満足してしまう人」の多さ

最新の日本証券業協会のデータ(2026年2月公表)2を見ると、興味深い実態が見えてきます。

2025年中のNISAでの一人あたり平均年間購入額は、

  • つみたて投資枠:45.5万円(年間上限120万円の約38%)
  • 成長投資枠:94.2万円(年間上限240万円の約39%)

となっています。

もちろん、それぞれの家計の状況に合わせて少額からコツコツ始めるのは素晴らしいことです。

しかし、このデータが示しているのは「多くの人が年間投資枠の上限を使い切れていない」という現実であり、それ以上に深刻なのは、「投資はNISAの範囲内だけでやるもの」という強いメンタルブロックの存在です。


ドンヨーク

象徴的なのが、日常会話での「NISAやってる?」という表現です。

いつの間にか「投資してる?」ではなく「NISAやってる?」が、投資をしているかどうかを確認する定番フレーズになっています。

これは、多くの人の中で「投資=NISA」という図式が完全に定着してしまっていることの表れです。

NISAは投資の「手段のひとつ」に過ぎないはずなのに、いつの間にか投資そのものと同義になってしまっています。


ネット証券大手であるマネックス証券のユーザー(すでにマネーリテラシーの高い層)を対象にした調査3では、NISA口座と課税口座(特定口座など)を併用している割合は82%に達しています。

しかし、一般的な世論調査やより広い層を対象にしたデータを見ると、NISAの非課税枠を超えて特定口座を積極的に活用し、投資をスケールさせている人は極めて少数派です。

ドンヨーク

ここに、明確な「マネーリテラシーの格差」が存在します。

「特定口座=税金がかかるから使わない」がもったいない理由

特定口座での投資を避ける人の多くは、「せっかく利益を出しても20.315%の税金が引かれるなら、使わない方がよい(NISA口座だけでよい)」と考えがちです。

しかし、これこそが最大の認識の誤りです。

本当にもったいないのは、税金を払うことではありません。
余剰資金を年利0.001%のメガバンクに放置して、インフレに資産の購買力を削られ続けることです。

米国株の代表的な指数であるS&P500は、名目ベースで年平均約10%の複利リターンを歴史的に叩き出してきました。

仮に特定口座で運用して年7%の利益が出たとしましょう(長期的な現実的想定)。
ここから20.315%の課税(約1.4%分)が差し引かれたとしても、手元に残る実質リターンは約5.6%です。

運用方法年利(税引き後)
特定口座でS&P500等に投資約5.6%
メガバンク普通預金約0.001%

どちらが圧倒的に豊かにしてくれるかは、数字を見れば明白です。

「非課税じゃないなら投資しない」というのは、「1万円もらえるけど、そこから2,000円の税金を払いたくないから、1万円の受け取り自体を拒否して0円のままにする」と言っているのと同じです。

税金を嫌って、より大きな利益ごと手放しているわけです。

ドンヨーク

「現金のまま何も変わらない」と「税金はかかっても資産が増え続ける」——どちらが良いかは、言うまでもありません。

投資の本質は「資産を適切なアセットに置いて増やすこと」であり、非課税枠を使い切った後は——あるいは並行してでも——特定口座を使って複利の波に乗るべきです。

特定口座には「NISAにない強み」がある

ここまで「特定口座は税金がかかるだけ」という話をしましたが、実は特定口座にはNISAにはない独自のメリットがあります。

それが損益通算繰越控除です。

損益通算とは

損益通算とは、ある銘柄で利益が出ても、別の銘柄で損失が出ていれば、その分を相殺して課税対象を減らせる仕組みです。

複数の銘柄や商品に分散投資しているほど、この恩恵は大きくなります。

なお、特定口座(源泉徴収あり)を選択していれば、同一証券会社内の損益通算は確定申告なしで自動的に行われます
ただし、複数の証券会社に口座を持っている場合、各社をまたいだ損益通算は自動では行われないため、合算して通算したい場合は確定申告が必要です。

繰越控除とは

繰越控除とは、その年に出た損失を最大3年間にわたって翌年以降の利益と相殺できる制度です。

たとえば今年大きく損失が出ても、翌年・翌々年に利益が出れば、過去の損失分を差し引いた上で課税されます。

繰越控除をするには、特定口座(源泉徴収あり)であっても、どんな場合でも確定申告が必要です。


NISAは非課税という強力なメリットがある反面、損益通算・繰越控除の対象外です。

ドンヨーク

つまり特定口座は「税金が取られる負の口座」ではなく、リスク管理にも使える、より柔軟な投資の器なのです。

NISAと特定口座、どちらを優先すべきか?

特定口座にもメリットがあるとわかると

「じゃあNISAと特定口座、どっちから使えばいいの?」という疑問が浮かぶかもしれません。

答えはシンプルです。

まずNISA枠を優先的に埋める。余剰資金があれば特定口座へ。

これが基本的な順序です。

NISA枠内の利益は完全非課税であり、この優位性は特定口座では得られません。

年間360万円(つみたて120万円+成長240万円)の非課税枠をフルに活用した上で、それでも余剰資金があるなら特定口座を使う——この順序を守るだけで、資産形成の効率は大きく変わります。

本記事が伝えたいのは「特定口座の方がNISAより優れている」ではありません。
NISA枠を使い切った後に現金で止まってしまうことが、最大の機会損失だということです。

その「キャッシュ比率」は本当に適正か?

SOICO株式会社のまとめ4では、世代別のNISA利用率は30代が31.2%でトップとなり、20代の金融経済教育の受講率も37.2%と非常に高いことが分かっています 。
若い世代がこれほど真剣に将来に備え、投資を学び始めているのは本当に素晴らしいことです。

しかし、そんな若い現役世代の中に「キャッシュを過剰に抱え込んでいる人」が多すぎるという問題が浮かびます。

たとえば以下のようなケースです。

  • 「投資は怖いから、貯金の1割だけを新NISAに回して、残りの9割は普通預金に入れたまま」
  • 「生活防衛資金を確保するどころか、何百万円もの現金をただ眠らせている」

もちろん、急な出費や直近のライフイベントに備えるために、生活費の6ヶ月〜1年分程度の「生活防衛資金」を現金で持っておくことは大原則であり、不可欠です。

しかし、生活防衛資金を超えた分の現金を低金利で遊ばせておくのは、20代・30代にとって人生における最大の機会損失です。

若い世代にとっての最大の武器は「時間」です。

長期投資であれば、一時的な市場の急落(暴落)があったとしても、20年、30年というスパンで複利運用を行うことで、高い確率でプラスのリターンに収束させることができます。

ドンヨーク

手元の現金比率が高すぎるということは、あなたのために働かない資産が多いということです。

市場に置かれた資産だけが、あなたの代わりに24時間働き続けます。

まとめ:非課税枠にとらわれないことが大事

2026年、私たちがアップデートすべきマネーリテラシーは以下の3点です。

  1. 「非課税」にこだわりすぎない

    NISA枠を使い切っても、余剰資金があるなら特定口座で米国株インデックスなどを買い増す方が、預金放置より遥かに合理的です。税引き後でも複利の力は圧倒的です。
  2. 特定口座の「損益通算・繰越控除」を味方につける

    特定口座は「税金が取られる口座」ではなく、損益通算・繰越控除というNISAにはない柔軟な機能を持つ投資の器です。これを知っているかどうかで、長期的なリターンに差が出ます。
  3. 年齢・状況に応じてキャッシュ比率を最適化する

    生活防衛資金をしっかりキープした上で、残りの余剰資金は「時間」を味方につけて、できる限り市場で働かせましょう。

NISAの利用は素晴らしい投資のスタートラインですが、ゴールはそこではありません。

ドンヨーク

この機会に、「銀行口座に眠っているだけの現金」がないか、特定口座を使う余地がないか、ぜひ見直してみてください。

※本記事の内容は、特定の投資商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任において行ってください。

  1. 金融庁「NISAの利用状況(2025年12月末時点・速報値)」
    https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20260218/2512nisa-graph_provisional.pdf ↩︎
  2. 日本証券業協会 「新NISA開始後の 利用動向に関する調査(2026年2月)」
    https://www.jsda.or.jp/houdou/kaiken/files/260218shiryou4.pdf ↩︎
  3. マネックス証券「投資に関する意識調査」
     https://media.monex.co.jp/articles/-/21323 ↩︎
  4. 会社設立のミチシルベ「NISAの利用率は何%?年代別データと運用実績を解説【2026年】 」
    https://www.soico.jp/no1/news/securities/5590
    ↩︎

にほんブログ村 にほんブログ村へ
人気ブログランキング
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次